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新しい展開のパチンコ

この額は、日本の25倍の広さをもつアメリカ合衆国の地価総額のおよそ3.3倍。
つまり、日本を売れば、アメリカが3個買えるということになるのだ。 この事実一つとっても、当時の日本が、いかに常軌を逸していたかがわかろうというものだ。
Nも有卦に入っていた。 東邦リアルエステートの破竹の勢いの伸長ぶりを見て、大手銀行はじめ、周囲はこぞって、自社ビルの購入を勧めてくる。

ついに、大手銀行の紹介物件で、Nは、神楽坂に、新築のビルを20億円で購入した。 その翌年には、田園調布に自宅も購入した。
田園調布の土地が坪1000万円といわれた時代で、この家はざっと7億円。 毎日のように銀座で豪遊。
銀行もノンバンクも、いくらでも融資を惜しまなかった。 26、7歳の若造に、「もう一つ、ビルを買いませんか」とか「ゴルフ場を買いませんか」という話がひっきりなしに舞い込んでくる。
ゴルフの会員権ではない。 ゴルフ場をまるごと買わないかというのである。
それどころか、ゴルフ場をつくってみないか?ホテルをつくらないか?リゾート開発しないか?……話はとどまるところを知らなかった。 天国から地獄、そして再起まで配下には120人の社員がいる。
毎月、欠かさず、その月給を支払うだけでも、かなりの精神的パワーがいる。 年商は140億円に達し、世間的にいえば、立派なサクセス経営者の1人である。
バプルが誕生させたリッチマソは枚挙にいとまないほどいる。 だが、さすがに26、7歳というのはめずらしかったのではないだろうか。

新聞、雑誌の取材申し込みも殺到した。 だが、Nは、仕事がおもしろくてたまらず、マスコミ取材に応じて、時代の寵児になることなどにはほとんど興味をもてなかった。
当時、最年少のバブル長者であったにもかかわらず、マスコミへの露出がそれほど多くなかったのは、Nのこうした姿勢による。 それと同時に、Nのなかで、動物的なカンとでもいおうか、なにかが「これはおかしい」とささやき出していたのだ。
「よく、バブル時代の不動産屋は″濡れ手に粟″状態で金を儲けたといいますが、そんなことは決してありません・儲けがデカければ、こうむる損失もデカイ・仕事は常に真剣勝負です」なんといっても、まだ20代の若者である。 その若さで、10億円、20億円の金を動かすのだ。
むろん、真剣そのものだったろう。 「朝から晩まで、仕事をしていましたよ。
銀行など、金融筋の方との話し合い、次々と飛び込んでくる物件の売買、社員のケア……。 たしかに儲かりはしましたけれど、いま、考えても、楽して儲けていたという感覚はありませんね」Nは、自ら、よく遊ぶといってはばからないが、根っこの根っこでは、芯からの仕事好きだ。
競馬をはじめ、ギャンブルにはいっさい興味を示さないし、ゴルフは、行けば終日つぶれてしまうことがイヤで、付き合いにとどめる。

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